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運送業における2024年問題とは?

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運送業の勤務状況を改善するために、2024年より政府主導で実施される働き方改革が施行されます。2024年に開始される法案によって、今の働き方が大幅に変更されることが予測されるので、法を犯さないためにも改革について把握しておくことが大切です。このページでは運送業における2024年問題について詳しく解説していきます。

2024年問題とは?

「働き方改革関連法」と呼ばれる法案が2019年・2020年に施行されており、運送業以外の業種に関しては、既に働き方改革が行われています。しかし、運送業やトラックなど車両運転業務に携わるケースに関しては、2024年まで猶予期間が設けられているため、運送業では2024年に大幅に働き方改革が求められています。そのことを「2024年問題」と呼び、運送業の働く環境を改善するように進めています。

なぜ運送業に猶予期間が設けられたのかは、他業種に比べ非常に長時間の時間外労働を強いている状況であり、インフラのひとつでもあることから、短期間での改善が難しいと判断されたからでしょう。だからこそ2024年になって慌てることのないように、今から取り組むことが求められているのです。

運送業界に求めれる働き方改革とは

時間外労働時間の上限を規制

労働基準法によると一般的な労働時間は、1日8時間や1週間40時間までなどの規制があり、これを超過した場合は残業時間とされます。さらに時間外労働は年720時間以内、毎月100時間未満、2~6か月の平均が80時間以内など規制もあるので、企業はこの規制の中で従業員の勤務を調整しなければなりません。ただし、これはドライバーには当てはまらないので注意しましょう。

自動車運転業務を行う従業員に対しては年に960時間が時間外労働の上限になっています。そのためドライバーは法定労働時間プラス年に960時間の範囲内で働かなければならないのです。また月単位での規制はないため、年で残業時間を調整すれば良いという規制になっています。

同一労働同一賃金

大企業では2020年から、中小企業では2021年から「同一労働同一賃金」の適用が開始されており、運送業は2024年から開始されるようになります。同一労働同一賃金とは、雇用形態に関わらず同じ仕事量や内容を行っている従業員に対して同一の賃金を支払わなければならないということです。つまり正社員・非正規社員に関わらず、手当などを同じように支給する必要があります。

ただし現状では、ハッキリとしたガイドラインが定められておらず、どこまで同一にするのかは曖昧な状態です。そのため定年などで再雇用するケースなど賃金の改定を行う際には、慎重に考えなければならないでしょう。

時間外労働の割増賃金の引上げ

中小企業を対象にした制度で、月に60時間を超える時間外労働を行う際の割増賃金率が50%と定められており、この法令はドライバーに対しても適用されます。もちろん月に60時間までの時間外労働であれば、これまでと同様の割増賃金率25%で問題ありませんが、それを越す場合には法令に則って賃金を上げなければなりません。そのため人件費が大幅にアップする可能性が高まり、企業にとっては負担が増えることになるでしょう。また、これは2023年4月より開始となるので、すぐにでも対策を講じておく必要があります。

働き方改革の罰則ってあるの?

結論から言うと、罰則はあります。時間外労働の上限規制などを遵守しない場合、「6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金」という罰則が定められており、違反をすれば金銭・時間だけでなく、企業イメージの低下がかかるので注意が必要です。今後の企業の経営やイメージを守るためにも、きちんと働き方改革の法令を遵守し、ドライバーの働き方について真剣に考えるようにしましょう。

運送業が抱えている問題

運送業は私たちの生活になくてはならない職業です。しかし現在は「物流量アップ」「人材不足」「高齢化問題」などの問題を抱えており、その問題を解消しなければ、働き方を改善することは難しいでしょう。問題について具体的に紹介していきます。

物流量アップ

ネットショッピングやフリマアプリなどの普及が進むにつれて、物流量は大幅にアップしています。さらにコロナウイルスの影響によって巣ごもり需要の影響もあり、これまで以上に物流量は増加傾向になるでしょう。

人材不足

トラックの運転手は長時間勤務や不規則な生活などを強いられるイメージがあり、どうしてもマイナスイメージを抱く方が多く、新たな人材が入りにくい状態にあります。そのため他の業種と比べ、有効求人倍率は2倍以上も高い数値となっており、企業が人材を増やしたいと思い募集しても、人材を獲得することは難しいようです。人材不足になることで、余計に現在活躍しているドライバーの負担が増してしまい、労働環境が悪くなる負のスパイラルに陥ってしまいます。悪循環を打ち切るためにも、人材の確保は重要な取り組みと言えます。

高齢化問題

厚生労働省によると、ほかの業種よりも運送業は平均年齢が高く、さらに上がり続けている傾向にあります。もし高齢ドライバーが一気に引退となれば、より人材不足は深刻な状況に陥ってしまうでしょう。そうならないためにも、若い年齢のドライバーを確保することが重要です。

運送業の問題を解決するために
人材確保が必要不可欠

運送業が抱えている問題は、非常に深刻な状態です。これらの問題を解決するためには、人材を確保することが必要不可欠と言えるでしょう。

福利厚生を充実させる

働く人にとって、働きやすい職場かどうかは重要なポイントでしょう。たとえば仕事がきつくても様々なサポート体制が整っていれば、頑張ろうと思えるかもしれません。住宅補助や食事補助、スキルアップへのサポートなど様々な取り組みを検討も一つの手なのです。もちろんコストの問題もかかってくるため、始めやすい取り組みから始めると良いでしょう。従業員の意見を聞きながら、どのような福利厚生を行うとやる気・モチベーションがアップするのか考えて見ても良いでしょう。

女性ドライバーを増やす

これまではドライバーと言えば、男性のイメージでしたが、徐々に女性ドライバーの割合も増加しています。男性だけと限定してしまえば、どうしても入社する割合が少なくなってしまい、人手不足に陥りやすくなるでしょう。そこで職場をキレイに整え、女性が就職したくなるような環境に変えれば、自然と応募する人数もアップするはず。積極的に女性も活躍できる職場だとアピールをしてみてくださいね。運送業の人手不足を解消する救世主は、女性なのかもしれません。

運送業の2024年問題は
今すぐ取り組むべき課題

2024年は、まだ先のことだと認識していれば、2024年を迎えたときに慌ててしまい、思うように問題が解消できない可能性があります。2024年を乗り越えなければ、罰則により、経営にも影響を及ぼすこともあるでしょう。とくに人材を確保したいと思うのなら、募集をしてもすぐに集まらないと認識し、早めに動くことが大切です。今すぐ2024年問題に取り組むことによって、ゆとりをもって問題を解消できるでしょう。こんなはずじゃなかったと後悔する前に、経営や業務体制について見直し、ドライバーに過剰な労働を強いていないかチェックしてみてください。また、労働環境を把握し、改善点を見つけるためにも様々なシステム・ツールの導入も検討してみるのも一つの手かもしれません。

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