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運送業の監査とは?

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運送業に関わらず法令に遵守しているかどうか、内部や第三者機関などの監査を受けることがほとんどです。運送業の場合は運輸局が行う監査とトラック協会が行う巡回指導を受けるケースが一般的でしょう。これらの監査を「面倒くさい」と思うかもしれませんが、監査があるからこそ悪質な運送業を排除できるのです。このページでは、運送業が受ける監査について分かりやすく紹介していきます。

監査と巡回指導の違いとは?

運送業としての業務を営むのであれば、営業所に監査官・指導員などが足を運び、どのような営業状況なのか詳しく実態を調査。この調査が「監査」「巡回指導」と呼ばれるもので、どこが行うかによって呼び方が変わります。

監査

国土交通省の運輸局や運輸支局による調査のことです。

重大な事故を起こした事業所や、巡回指導時に悪質とみなされる法令違反が見つかった場合に行われます。また内部・外部からの通報や長期間監査が行われていないケースでも、監査が実施されることがあるようです。

監査は事前に通知されることもありますが、基本的には突然監査官などが現れ、業務実態を調査されます。また運輸局に呼び出されることもあり、監査官の意向によって監査の流れはさまざまです。ただ巡回指導とは異なり、事前通告はないと考えていた方が無難でしょう。

巡回指導は3時間程度で終了することがほとんどですが、監査の場合は違反項目が少しでもあれば数日かけて行うこともあるので、企業にとっては過度な負担がかかってきます。さらに違反が見つかれば、違反の内容によっては行政処分を受けることもあり、運送業を継続できない事態に陥るリスクもあるでしょう。

巡回指導

トラック協会の地方貨物自動車運送適正化事業期間による調査のことです。これは運送業を開始し1ヶ月から3ヶ月以内に実施されるのが一般的で、このときにA判定と認定を受けた運送会社なら2年から3年に一度のペースで実施されます。もしA判定とみなされなければ、巡回指導のペースは早くなる可能性が高く、企業にとっても余計な負担になってしまうでしょう。そのため初回の巡回指導は、しっかり対策を講じておくことが大切です。

巡回指導の実施については、2~3週間前に営業所に案内の郵便が届くので、突然巡回指導に来るようなことはありません。巡回指導を行う日時や用意しておくものなどの通知があるので、それに合わせて準備を進めれば問題ないので、それほど不安にならなくても大丈夫でしょう。もし巡回指導の結果に違反事項があれば、指導が入り、業務改善を求められるという流れです。

監査の種類

ひと言に監査と言っても、運輸支局が実施している監査には3つの種類があります。

  • 特別監査
    「トッカン」とも呼ばれ、運送業を営んでいれば必ず耳にする言葉と言えます。重大な事故を引き起こしたケースや重大な法令違反が見つかったケースに行われるものです。
  • 一般監査
    特別監査には該当しないケースで、街頭監査によって疑われた事業者に対して実施されます。
  • 街頭監査
    事業者を指定して行うのではなく、街頭において行われる抜き打ちの監査のことです。この街頭監査時に疑いがあれば、一般監査の段階に進展します。

監査を受ける運送業者とは?

そもそも監査を受けたことがない運送業者も多いはずです。そもそも監査を受けるのは、どういったケースなのでしょうか?具体的に監査を受けるケースについて紹介していきます。

  • 法令違反の疑いがあるケース
    内部告発の場合もありますが、中にはクビになった従業員が嫌がらせで告発するケースもあります。また巡回指導の結果、悪質な違反の可能性があると判断された場合にも監査対象になるでしょう。
  • 死亡事故を起こしたケース
    輸送の安全が守られていないと判断されてしまい、長時間の労働になっていないかなどをチェックされます。
  • ドライバーによる悪質な違反が判明・疑われるケース
    酒酔い運転や過労運転、無免許運転、ひき逃げなどを起こした場合や、それが疑われる場合に監査が実施されます。
  • 事業改善報告などを拒否したケース
    行政処分を受け、事業改善報告を命じられたにも関わらず、報告をするための出頭の拒否や改善報告を一切しない、改善されたとみなされない場合です。ほかにも巡回指導を拒否した運送業者は監査の対象になるでしょう。
  • 福利厚生が整備されていないケース
    労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金などの福利厚生が整備されていない場合は、監査対象になるでしょう。さらに最低賃金以下で労働させていた場合も対象です。
  • 3年間で3回以上同じような事故を起こしたケース
    比較的重い事故を引き起こした場合、運送業者は国土交通大臣に事故を報告しなければならないという義務があります。鉄道車両との接触や十人以上の負傷者を出した事故、十台以上の車両の衝突または接触を起こした事故などがあり、これらの事故を3年で3回以上起こせば、監査対象です。
  • 安全への管理体制が整っていないケース
    トラックの保有台数や休憩施設・睡眠施設の整備、ドライバーの勤務時間、運行管理者の有無などが守られていなければ、監査の対象となるでしょう。
  • 受委託者に違反があるケース
    点呼やアルコールのチェックは、国土交通大臣に許可を得た業者に委託させることができますが、その業者に違反があると判断された場合も監査対象です。

監査でチェックされるポイント

監査を行う際、基本的に8つの項目を重視してチェックしています。もちろん、この項目以外にも必要に応じてチェックされるケースもあるので注意して下さい。

  • 事業計画について
  • 損害賠償責任保険の加入について
  • 社会保険などの加入について
  • 運賃・料金の収受について
  • 賃金の支払いについて
  • 運行管理の状況について
  • 整備管理の状況について
  • 自家用自動車の利用や名義貸し行為などについて

Gマークを取得すれば監査に優遇されるって本当?

Gマークとは、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(全日本トラック協会)が行っている安全性評価事業によって安全性優良事業所に認定されていることを証明するものです。つまり輸送の安全に取り組んでいる事業と認定されるため、Gマークを取得することで監査の頻度が減る可能性もあります。さらにGマークを取得すれば様々な助成金が受けられるなどのメリットもあり、安全への意識が高い運送業者はGマーク取得の検討をしても損はないでしょう。

監査の対策は法令順守しかない!

監査や巡回指導を行うのは、しっかりルールが守られているかを確認したいからです。ドライバーに過酷な労働を押し付けていないか、安全対策を講じているのかなどをチェックし、少しでも重大な事故を減らし、悪徳な運送業者を取り締まりたいという願望があります。そのため事前に書類などを偽装できないように、監査は突然行われるのです。

もちろん突然「監査」となれば、慌ててしまうこともあるでしょう。しかし、日々の業務が法令に則っていれば、決して怖いものではありません。もし法令に違反した状態で日々業務を行っていれば、状態次第では行政処分の対象になってしまうので注意が必要です。また実態とは異なる書類を作成したり、虚偽の申告を行ったとしても、経験豊富な監査官の目をだますことは難しく、虚偽が見つかる可能性は高く、虚偽だと判断されれば行政処分の対象にもなります。

「法令を守る」のは当たり前のことですが、企業にとっては非常に大変なことでしょう。しかし忙しい業務だからと言い訳して、法令を破ってしまえば、それだけリスクも負う可能性が高まります。運送業を継続したいと考えているのなら、日々法令を遵守し、いつ監査が来ても大丈夫なように備えておくことが大切です。

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